食事のあと、どんな姿勢で過ごしていますか?
ソファに深く沈みこんでスマホを見る。机に向かって、背中を丸めたまま仕事にもどる。じつはこの「食後の猫背」が、胃のもたれやすさと関わっているかもしれません。
出雲市の鍼灸院・山岡鍼灸院、院長の古瀬です。今回は猫背(背中が丸まった姿勢)と胃もたれのつながりについて、体の仕組みから順番にお話しします。
先に医療機関へ相談してほしいサイン
胃もたれには、姿勢や生活習慣だけでは説明できないものもあります。次のような様子があるときは、姿勢の工夫より先に、消化器内科などの医療機関へご相談ください。
- 便が黒っぽい、血を吐いた
- 食べる量は変わらないのに、体重が減ってきた
- 食べ物が飲みこみにくい、つかえる
- みぞおちの痛みが強い、夜も痛む
- 胃もたれが何週間も続き、だんだん強くなっている
ここから先は、検査で大きな問題はないと言われたものの、胃の重さが気になる方に向けたお話です。
猫背と胃もたれは、どうつながっているの?
1. お腹の「すきま」がせまくなる
背中を丸めると、胸とおへその距離が近づきます。すると、お腹の中の胃や腸は、上下から少し押しつぶされたような形になります。
胃は、食べ物が入ると風船のようにふくらんで受け止めてくれる袋です。まわりのすきまがせまいと、ふくらみにくくなり、「少し食べただけで苦しい」「いつまでも重い」と感じやすくなると考えられています。
2. 呼吸が浅くなり、お腹の動きが小さくなる
胸とお腹のさかいめには、横隔膜(おうかくまく)という呼吸の筋肉があります。息を吸うたびに下がり、吐くたびに上がって、胃や腸をやさしく動かしてくれています。
猫背になると胸がつぶれて、呼吸が浅くなりがちです。横隔膜の動きが小さくなると、お腹への「マッサージ」も少なくなります。さらに呼吸が浅い状態は、体が緊張モードに入りやすく、胃腸の働きを受けもつ自律神経のバランスにも関わると言われています。
3. 背中とお腹が、丸まった形で固まりやすい
同じ姿勢が続くと、背中の筋肉もお腹の筋肉も、その形のままこわばりやすくなります。背中やお腹の張りと胃の不調の関係については、胃もたれが続くのは胃だけの問題じゃないの記事でもくわしくお話ししています。
胃にやさしい姿勢の工夫
「いつも背すじをピンと伸ばす」のは、かえって疲れて続きません。ポイントは、ずっと正しくするより、ときどき戻すことです。
食べるときは、足の裏を床につける
足がぶらぶらしていたり、脚を組んでいたりすると、骨盤が後ろにたおれて背中が丸まりやすくなります。両足の裏を床につけるだけで、上半身が自然と起きてきます。
食後30分ほどは、上半身を起こしておく
食べてすぐに横になったり、ソファに沈みこんだりするのは、胃にとって負担になりやすいと言われています。背もたれに軽くよりかかる程度で、上半身を起こして過ごしましょう。
食後は、ゆっくり歩く
余裕があれば、家の中や近所を5〜10分ほど、ゆっくり歩いてみてください。体が起きた状態で動くことで、お腹もいっしょに動きやすくなります。息が上がるほどの運動は、食後すぐには控えましょう。
1時間に一度、「肩ストン」でリセット
両肩を耳に近づけるようにグッと持ち上げ、息を吐きながらストンと落とします。これを2〜3回。丸まっていた胸が開き、呼吸が少し深くなるのを感じられると思います。
姿勢以外の生活習慣については、胃が重い・胃もたれが続く6つの原因もあわせてご覧ください。
鍼灸では「背中」と「お腹」の両方をみています
当院の整動鍼®は、体の動きのつながりに注目する考え方です。胃もたれのご相談でも、背中や肩まわりのこわばり、呼吸のしやすさを確かめ、少ない本数で体の緊張をゆるめることを大切にしています。
あわせて、お腹に手を当てる腹診で、みぞおちまわりのかたさや張りもみていきます。お腹と背中の両方からゆるめることで、丸まった姿勢から戻りやすい体を目指します。感じ方には個人差があり、医療機関での治療と並行してご相談いただくことも可能です。当院の考え方は胃腸・自律神経の鍼灸のページにまとめています。
まとめ
猫背になると、お腹のすきまがせまくなり、呼吸も浅くなって、胃が働きにくい状態になりやすいと考えられています。まずは受診が必要なサインがないかを確かめたうえで、足の裏を床につける、食後は上半身を起こしておく、ときどき「肩ストン」でリセットする。できそうなものを、ひとつだけ試してみてください。
毎日の食後の過ごし方が、少しずつ胃の居心地を変えていきます。
参考資料
- 日本消化器病学会「機能性ディスペプシア(FD)」(ガイドライン一覧)
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/fd.html - 厚生労働省「身体活動・運動の推進」(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
