窓の外はまだ晴れているのに、なんとなく頭が重い。こめかみがじんわりして、体もだるい。夕方の天気予報を見ると「明日は雨、台風が近づいています」。
「やっぱり、天気のせいだったのか」。そう思った経験がある方は、少なくないのではないでしょうか。
出雲市の鍼灸院・山岡鍼灸院、院長の古瀬です。9月は台風や秋雨前線で、天気がころころ変わる季節です。今回は、天気と体調の話でよく出てくる3つの言葉を、できるだけやさしい言葉に置きかえてご紹介します。
先に医療機関へ相談してほしいサイン
「天気のせいかな」と思っても、次のようなときは様子を見ずに、先に医療機関へご相談ください。
- 今までに経験したことがない、急で強い頭痛
- 手足のしびれ、力が入らない、ろれつが回らない
- ぐるぐる回るめまいで立っていられない、吐き気が止まらない
- 熱がある、首が曲げにくいほど痛い
- 天気に関係なく、症状がだんだん強くなっている
ここから先は、医療機関で大きな問題はないと言われたものの、天気の変わり目になると調子をくずしやすい方に向けたお話です。
言葉1「気象病(きしょうびょう)」=天気に体がふりまわされる状態
「気象病」は、病院でつけられる正式な病名ではありません。気圧・気温・湿度といった天気の変化をきっかけに、体や気分の不調が出やすくなる状態を、まとめてこう呼んでいます。
出やすい症状は人によってちがいます。頭痛、首や肩のこり、めまい、だるさ、眠気、気分の落ちこみ、そして胃のむかつきやお腹の不調が出る方もいます。「毎回ちがう場所が不調になる」のも、この状態の特徴のひとつです。
なぜ天気で体調が変わるの?
耳の奥には、体のかたむきや動きを感じとる小さなセンサーがあります。このセンサーが気圧の変化にも反応し、その情報が脳に伝わることで、体の調子を整える自律神経が揺さぶられるのではないか、と考えられています。
自律神経は、体の「アクセル」と「ブレーキ」のような役わりをしています。天気の変化にあわせて、その切りかえがいそがしくなる。すると、頭痛やだるさ、胃腸の不調など、いろいろな形でサインが出てくるのです。
言葉2「天気痛(てんきつう)」=天気で「痛み」がぶり返すこと
気象病の中でも、特に「痛み」が出るものを「天気痛」と呼ぶことがあります。雨の前に頭がズキズキする、古いけがのあとがうずく、腰や膝が重く痛む、といったものです。
痛みを感じるしくみも、自律神経と深く関わっています。体が緊張モードに入ると筋肉がこわばり、血の流れもとどこおりやすくなります。もともとこっている首や肩、古傷のまわりから、痛みがぶり返しやすいと言われています。
頭痛の考え方については、頭痛・片頭痛の鍼灸のページでもくわしくご紹介しています。
言葉3「湿(しつ)」=東洋医学でいう、体にたまった「じめじめ」
最後は、東洋医学の言葉です。東洋医学では、湿気の多い天気が続くと、体の中にも余分な水分がたまりやすいと考えます。この「じめじめ」を「湿(しつ)」と呼びます。
湿がたまると、体は水を吸ったスポンジのように重くなります。頭が重い、体がだるい、むくむ、食欲が落ちる、お腹がゆるくなる。雨の日の不調を、昔の人はこんなふうに表現していました。
とくに胃腸は、東洋医学で「湿に弱い」とされる場所です。雨の日にお腹の調子がくずれやすい方は、雨の日に下痢・腹痛が起きる理由と対処法もあわせてご覧ください。
天気に負けにくくするための、3つの小さな習慣
1. 天気予報を「体の予定表」として使う
雨や台風の予報が出たら、その日は予定をつめこみすぎない、早めに寝る、と決めておきます。「来るかも」と分かっているだけで、気持ちの負担が軽くなる方も多いです。
2. 耳と首まわりを温める
耳のまわりを手のひらでつつんで温めたり、耳たぶを軽くつまんで、ゆっくり回したりしてみてください。首すじを蒸しタオルで温めるのもおすすめです。気持ちいいと感じる強さで行いましょう。
3. 冷たいものを控え、起きる時間をそろえる
湿をためないためには、冷たい飲み物や食べ物をとりすぎないことが大切です。そして、休みの日も起きる時間をなるべくそろえると、自律神経のリズムが整いやすくなると言われています。
ふわふわしためまいが続く方は、ふわふわめまいと自律神経の関係の記事も参考にしてください。
鍼灸では、天気の変わり目を「乗りこえやすい体」を目指します
当院の整動鍼®は、体の動きのつながりに注目して、少ない本数で体の緊張をゆるめることを大切にしています。天気で調子をくずしやすい方は、首のつけ根や耳の後ろ、背中がかたくなっていることが多いため、そのあたりのこわばりや動きをていねいに確かめていきます。
あわせて、お腹に手を当てる腹診で、胃腸の張りや冷えもみていきます。天気そのものは変えられませんが、体の緊張をゆるめておくことで、変わり目の波をやりすごしやすくなることが期待されます。感じ方には個人差があります。
まとめ
「気象病」は天気に体がふりまわされる状態、「天気痛」は天気で痛みがぶり返すこと、「湿」は体にたまったじめじめ。言葉の意味が分かると、「気のせいかも」と一人でがまんしなくてよいことが見えてきます。
まずは受診が必要なサインがないかを確かめたうえで、天気予報を体の予定表にする、耳と首を温める、冷たいものを控える。できそうなことを、ひとつだけ試してみてください。
参考資料
- 気象庁「台風とは」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-1.html - 厚生労働省「睡眠対策」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
