こんにちは。出雲市の山岡鍼灸院院長・古瀬が解説します。「朝起きると指が曲がったまま伸びない」「伸ばそうとするとカクンと跳ねるように動く」「指の付け根を押すと痛い」──こうした症状は「バネ指」と呼ばれています。指は一日に何百回と動かす場所ですから、ここに引っかかりが出ると、ふたを開ける、包丁を握るといった当たり前の動作が一気にわずらわしくなります。今回は、バネ指をどう考えていくとよいのか、鍼灸ならではの見方をお話しします。
まず知っておきたい、受診の目安
はじめに大切なことをお伝えします。指が赤く腫れて熱をもっている、複数の指の関節が左右対称にこわばる、朝のこわばりが長時間続く、しびれが強くなってきたといったときは、まず整形外科や内科でみてもらってください。指のこわばりの背景には、関節そのものの病気が隠れていることがあり、血液検査などでしかわからないこともあります。病院に通いながらも思うようにいかないとき、「体の使い方」という別の角度から見直してみることが、選択肢の一つになると考えています。
バネ指は、指の中で何が起きている?
指を曲げるとき、指の骨をひっぱっているのは「腱(けん)」という丈夫なひもです。この腱は、指の骨に沿って通っているトンネルのような部分をすべって動いています。使いすぎなどでこのトンネルや腱がはれてくると、すべりが悪くなり、引っかかってからカクンと外れる──これがバネ指の「バネ」の正体だと言われています。手をよく使う方に多く、女性ではホルモンの変化がかかわる時期(産後や更年期など)に出やすいとも言われています。
「指が犯人」とはかぎらない
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。バネ指は指に症状が出ますが、鍼灸の目線では指そのものを犯人だとは考えません。理由はシンプルで、指を動かしている筋肉は、指にはついていないからです。
指を動かしているのは、ひじから先の腕
ご自分の前腕(ひじから手首までの部分)を軽く握ったまま、指をグーパーと動かしてみてください。腕の中でモゾモゾと筋肉が動くのがわかると思います。指を曲げ伸ばししている筋肉は、じつはこの前腕にあり、そこから長い腱をのばして指を引っぱっています。つまり前腕の筋肉がこわばれば、その分だけ指の腱は常に引っぱられ続けることになります。すべりが悪くなる下地が、指ではなく腕の側にできているかもしれない、という見方です。手首やひじのつらさもある方は、手首・肘の痛みについての記事もあわせてご覧ください。
さらにさかのぼると、背中と肩甲骨
では、その前腕の筋肉はなぜこわばるのでしょうか。腕は肩甲骨からぶら下がるようにつながっていて、その肩甲骨は背骨の動きに乗って滑らかに動いています。背中がかたまって肩甲骨が動きにくくなると、その負担は腕の先、そして指へと流れていくと考えられます。当院が、指の症状をうかがっているのに背中や肩甲骨をていねいに確かめるのは、このためです。肩や首のこりが長く続いている方は、肩こり・首のこりについての記事や寝違えについての記事でも、同じ「背中・肩甲骨」の話が出てきます。体はひとつながりだからです。
当院での見方 ── 腹診と整動鍼®
当院では、指の症状があるときも、指だけを診るのではありません。まず腹診といって、お腹にそっと手を当てて体全体の状態を確かめます。そのうえで、前腕・ひじ・肩甲骨・背中など、指の動きと関わりの深いところの動きやこわばりを一つひとつ確かめていきます。整動鍼®では、こうして見つけた「原因になっていそうなポイント」にねらいを定めるため、少ない鍼で対応でき、体への負担が少ないのが特ちょうです。腫れて痛む指に直接たくさん鍼を打つ、という考え方ではありません。変化の出方には個人差がありますので、その日の体の反応を見ながら進めていきます。
ご家庭でできるセルフケアのヒント
- 前腕をやさしくゆるめる ── ひじから手首までを、反対の手のひらで包むようにして、ゆっくりさすってみましょう。もんだり強く押したりする必要はありません。
- 肩甲骨を動かす ── 両肩をすくめてストンと落とす、肩を大きく後ろに回す。1日に何度か、思い出したときに行うだけでも背中は動きやすくなります。
- 握りっぱなしの時間を減らす ── スマホ、包丁、ハンドル、買い物袋。同じ握り方が続いていないか、一度ふり返ってみてください。ときどき手を開いて休ませるだけでも違ってきます。
- 引っかかる指を無理に伸ばさない ── 「伸ばしておけばそのうち引っかからなくなるはず」と反対の手で強く押し広げると、かえって刺激になることがあります。痛みの出ない範囲でゆっくり動かすことを大切にしてください。
バネ指は「使いすぎだから仕方ない」「年齢のせい」と受け止められがちですが、指を動かしている前腕、そのおおもとにある背中や肩甲骨といった全身のつながりから見直してみることで、付き合い方のヒントが見つかることもあります。指の引っかかりが続いてお困りのときは、当院でできることをご相談いただければ幸いです。
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
