「家で一人で食べるときは平気なのに、職場の食事会や親せきの集まりのあとは、決まって胃がパンパンに張る」
「帰り道、お腹も気持ちも、なんだかぐったりしている」
秋は行事や集まりが増えて、人と食卓を囲む機会が多くなる季節です。出雲市の鍼灸院・山岡鍼灸院、院長の古瀬です。
施術の現場でも「食べた量はいつもとそう変わらないのに、人と食べると胃が苦しくなる」というお話をうかがうことがあります。今回は、こうした「会食疲れ」が起こりやすい3つの理由と、胃をラクにする5つの工夫をまとめました。
はじめに:こんなときは先に病院へ
次のようなサインがある場合は、会食のせいと決めつけず、まず医療機関(内科・消化器内科)で相談してください。
- みぞおちの強い痛みが続く、または夜中に痛みで目が覚める
- 黒っぽい便や、血の混じった便が出る
- 吐き気や吐くことが何日も続く
- 食事の量は変わらないのに、体重が急に減ってきた
検査で大きな異常がないと分かったうえで、「人と食べるとつらい」が続くときに、この先のお話が役に立つかもしれません。
人と食べると胃が張りやすい3つの理由
理由1 気をつかうと「消化のスイッチ」が入りにくい
胃や腸は、体がホッとしているときによく動くと言われています。反対に、緊張したり気をつかったりしている場面では、体は「がんばるモード」になり、胃の動きがゆっくりになりやすいと考えられています。
上司や目上の方との席、久しぶりに会う親せきとの食事。楽しい場であっても、体の中では小さな緊張が続いていることがあります。ストレスと胃腸の関係は、ストレスが胃腸を弱らせる理由でもくわしく書いています。
理由2 話しながら食べると、空気も一緒に飲み込みやすい
会話をしながら食べると、ひと口ごとに空気も少しずつ飲み込みます。相づちを打ちながら急いで飲み込む、という場面も増えがちです。この空気がたまると、お腹の張りやげっぷの原因のひとつになると言われています。
理由3 食べる量とペースが「自分のもの」でなくなる
「残したら悪いかな」「すすめられたから、もう少し」。人と食べると、お腹の声より場の空気を優先しやすくなります。
おなかがいっぱいだという合図は、食べはじめてから少し時間がたって届くとされています。会話に夢中で早く食べると、その合図が届く前に食べ終わってしまうことがあります。
会食で胃をラクにする5つの工夫
どれも「全部やらなきゃ」ではありません。できそうなものを1つ選んでみてください。
工夫1 席に着いたら、ゆっくり息を吐いてから箸をとる
乾杯の前に、ふーっと長めに息を吐いてみましょう。吐く息を長くすると、体がホッとする方向へ切りかわりやすいと言われています。たった一回でもかまいません。
工夫2 「話すときは箸を置く」を自分ルールにする
話す番になったら、いったん箸を置く。これだけで自然と食べるペースが落ち、空気の飲み込みも減らしやすくなります。
工夫3 最初のひと皿は、温かくてやわらかいものから
冷たい飲み物や揚げ物から始めるより、汁物や煮物など温かいものから口にすると、胃がびっくりしにくいと考えられています。
工夫4 断りのひと言を、先に決めておく
「最近、胃をいたわっているので」「もうお腹いっぱいで、とてもおいしかったです」。言い方を先に決めておくと、その場で迷わずにすみます。残すことは、失礼ではなく自分の体を大切にする選択です。
工夫5 帰ったら「追いごはん」をせず、お腹を温める
帰宅後の締めのラーメンや甘いものは、少しがまん。白湯を少し飲んで、みぞおちに手のひらを当てて温めてみてください。横になるのは、食後少し時間をおいてからがおすすめです。
食後に背中を丸めた姿勢が続くと胃が重く感じやすい、というお話は胃もたれと背中・お腹のこわばりの記事でも紹介しています。
鍼灸ではどう考えるか
東洋医学では、気をつかう場面でお腹が張る状態を「気(き)のめぐりが滞っている」と表すことがあります。むずかしい言葉ですが、「体の中の流れが、緊張で少しつまっている」くらいのイメージです。
当院ではまず腹診(ふくしん)で、みぞおちまわりのかたさや押したときの痛みを確かめます(腹診については「お腹を触って何がわかるの?」の記事で説明しています)。そのうえで整動鍼®で、手や足など離れた場所のツボを使い、お腹や背中の緊張がゆるみやすい状態を目指します。少ない鍼で行うのが特徴です。感じ方や変化には個人差があります。
まとめ:会食がつらいのは「胃が弱いから」とは限りません
人と食べると胃が張るのは、あなたが場に合わせてがんばっている、体からのサインかもしれません。まずは「話すときは箸を置く」など、できることを1つだけ試してみてください。
それでも会食のたびにつらさが続くときは、ひとりで抱えこまず、医療機関や専門家に相談してみてくださいね。
参考資料
- 日本消化器病学会「患者さんとご家族のためのガイド」(機能性消化管疾患などの解説)
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
