「スマホで動画を見たあと、首の後ろがずーんと重くなるんです。これって、よく聞く“スマホ首”ですか?」
施術の合間に、こんなご質問をいただくことがあります。出雲市の鍼灸院・山岡鍼灸院、院長の古瀬です。
スマホは毎日の暮らしに欠かせない道具になりました。そのぶん、首のこりを感じる方も増えているように思います。今回はこのご質問に、順を追ってお答えしていきます。
お答え:「スマホ首」は病名ではなく、姿勢のクセを表すことば
「スマホ首」は、正式な病名ではありません。スマホを見るときの、うつむいて頭が前に出た姿勢や、それが続いて首がこりやすくなった状態を、わかりやすく呼んだことばです。
ですから「スマホ首かどうか」を気にするよりも、「どんな姿勢が、どれくらい続いているか」に目を向けるほうが、毎日の工夫につなげやすいと考えています。
頭は思っているより重い
大人の頭の重さは、体重のおよそ1割ほどと言われています。ボウリングの球をひとつ、首の上にのせているようなイメージです。
まっすぐ立っているときは、その重さを背骨全体で受けとめられます。ところが頭が前に傾くと、首の後ろの筋肉が「落ちないように」と引っぱり続けることになります。これが重だるさの一因になると考えられています。
首こりにつながりやすい3つのポイント
1. あごが前に出る「のぞきこみ姿勢」
画面を見ようとすると、知らないうちにあごが前に出ます。首の付け根から頭の後ろにかけてが、ずっと縮こまったままになりやすい姿勢です。
2. 同じ姿勢のまま「動かない時間」
じつは、姿勢そのものより「長く動かないこと」が負担になる面もあります。少しくらい姿勢がくずれても、こまめに動いていれば筋肉は休めます。夢中で画面を見ている時間ほど、体は固まりやすくなります。
3. 目の疲れと浅い呼吸
小さな文字を見つめていると、目のまわりに力が入り、肩も少しずつ上がってきます。集中しているときは呼吸も浅くなりがちです。首だけでなく、肩や背中まで一緒にこわばってしまうことがあります。
先に医療機関の受診を考えたいサイン
次のようなときは、首こりと決めつけず、まず整形外科などの医療機関にご相談ください。
- 手や腕にしびれがあり、だんだん強くなっている
- 腕や指に力が入りにくい、物を落としやすくなった
- がまんできないほどの強い痛みがある
- 急に今までにない強い頭痛が出た
- 転んだ・ぶつけたなど、きっかけがはっきりしている
検査で大きな問題がないと確認できてから、こりのケアを考えても遅くはありません。
一緒によく聞かれる2つのご質問
Q. 枕を変えれば良くなりますか?
枕が合っていないと、朝の首の重さにつながることはあります。ただ、昼間の姿勢のクセがそのままだと、枕だけで変化を感じにくい方も少なくありません。夜と昼、両方を見直すのがおすすめです。
Q. 首をボキボキ鳴らすとスッキリするのですが…
一時的に軽く感じても、強くひねる動きは首に負担がかかることがあります。鳴らすよりも、ゆっくり大きく動かすほうがやさしいケアです。
今日からできる3つの工夫
画面を目の高さに近づける
ひじを体の横につけて、スマホを胸の高さまで持ち上げてみましょう。座っているときは、ひじの下にクッションを置くと腕がラクです。目だけを少し下に向ける角度が目安です。
「区切り」で首を動かす
動画を1本見終わったら、メッセージを1つ返したら、など区切りを決めます。そのたびに、ゆっくり天井を見上げて、左右を見て、首をほぐします。痛みが出ない範囲で行ってください。
肩甲骨をまわす
両手を肩に置き、ひじで大きな円をかくように、前から後ろへ5回ほどまわします。肩甲骨が動くと、首の付け根まわりもゆるみやすくなります。息を止めず、ゆったり行いましょう。
鍼灸院では「首だけ」を見ません
当院では、整動鍼®という考え方で施術を行っています。首のこりの原因が、首そのものではなく、背中や肩甲骨、腕の使い方などにあることも多いと考え、実際に首を動かしていただきながら、どこが動きをじゃましているかを確かめていきます。そのうえで、できるだけ少ない鍼で体の連動を整えることを目指します。
画面に集中しやすい方は、呼吸が浅くなってお腹がこわばっていることもあります。腹診でお腹の状態も確かめながら、全身のバランスを見ていきます。感じ方には個人差がありますが、「首がまわりやすくなった」と感じていただけることもあります。
肩こり・首こりについては、こちらのページでもくわしくご紹介しています。
まとめ
「スマホ首」は病名ではなく、うつむき姿勢が続いた状態を表すことばです。大切なのは、画面の高さ、動かない時間、目と呼吸の3つを少しずつ見直すこと。スマホを手放さなくても、付き合い方は変えられます。まずは今日、動画1本ごとに首をゆっくり動かすところから始めてみてください。
参考資料
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
