10月に入り、出雲でも新米や秋の味覚が並ぶ季節になりました。「食欲の秋」という言葉もよく耳にします。
ところが、「好きなものなのに、数口食べるともうお腹いっぱい」「まわりはおいしそうに食べているのに、自分だけ箸が止まる」。そんなお悩みを、この時期にうかがうことがあります。
出雲市の鍼灸院・山岡鍼灸院、院長の古瀬です。今回は「すぐにお腹がいっぱいになる」感じについて、秋に出やすい背景と、今の時期に試していただきたい食べ方の工夫をお話しします。
先に確認を。早めに医療機関へ相談してほしいとき
次のようなことがある場合は、セルフケアで様子を見る前に、まず内科や消化器内科を受診してください。
- 食べる量が減って、体重が急に落ちている
- 食べ物がのどや胸につかえる感じがある
- 黒っぽい便が出る、血を吐いた
- ふらつきや息切れなど、貧血のような症状がある
- みぞおちの痛みが日ごとに強くなっている
病院の検査で大きな異常が見つからないのに、食後のもたれや「すぐ満腹になる感じ」が続く状態は、機能性ディスペプシアと呼ばれることがあります。くわしくは「胃もたれ・みぞおちの不快感」が続くときの記事でもお話ししています。
胃には「ふくらんで受け止める」はたらきがあります
胃は、ただの袋ではありません。食べ物が入ってくると、胃の上のほうがふわっと広がって、まとめて受け止めてくれると言われています。大きめのリュックが、荷物に合わせてふくらむようなイメージです。
この広がりがうまくいかないと、入ってくる量に胃が追いつかず、少しの量でも「もういっぱい」と感じやすくなると考えられています。そして、この広がりは、体がほっとしてゆるんでいるときに働きやすいとされています。
秋に「すぐ満腹」が出やすい3つの背景
1. 夏のあいだの「少なめ」が、そのまま続いている
暑い時期は、食欲が落ちて、そうめんや冷たい飲み物で済ませる日が増えがちです。少ない量で過ごす日が続くと、涼しくなってもすぐには元の量に戻らない。そう感じる方は少なくありません。
2. 寒暖差で、体が「がんばるモード」のまま
秋は朝と昼の気温差が大きく、体は温度に合わせようと一日中働いています。体が緊張しているときは、胃の「ゆるんで広がる」はたらきが後回しになりやすいと考えられています。
3. 食べ方が、胃の準備に間に合っていない
急いで食べる、背中を丸めてスマホを見ながら食べる、飲み物で流しこむ。こうした食べ方では、胃が広がる前に食べ物が届きやすくなります。忙しい年度後半ほど、食事が「作業」になりがちです。
10月から試したい、食べ方の4つの工夫
一度にたくさんより、回数を分ける
一回で食べきろうとせず、おにぎり半分やバナナなどを間食にして、一日の量を4〜5回に分けてみてください。「全部食べなきゃ」と思わないことも、胃をゆるめる助けになります。
最初のひと口は、温かいものから
食事の始めに、みそ汁やスープをひと口ふた口。冷たい飲み物を一気に飲むより、胃がびっくりしにくいと感じる方が多いです。汁物でお腹を満たしすぎないよう、少しずつがコツです。
脂っこいものは、量をひかえめに
揚げ物や脂の多い料理は、胃にとどまる時間が長くなりやすいと言われています。秋の味覚を楽しむときも、揚げ物は小皿に一つ、くらいの気持ちで。
食べる前に、ゆっくり3回呼吸する
いすに深く座り、背すじを軽く起こして、鼻から吸って口から細く吐く呼吸を3回。お腹がゆるむ合図になります。食後もすぐに横にならず、10分ほど座ってゆったり過ごしましょう。
ツボネットに掲載されている症例から
整動鍼®の症例を集めたサイト「ツボネット」には、他院の症例として、食後すぐにお腹が張るようになり、食事量が以前の3割ほどに減ってしまった30代男性の例が掲載されています。内科で機能性ディスペプシアの疑いと言われていた方で、触診ではお腹の中心のハリ、首や肩の緊張、呼吸の浅さが確認されていたそうです(ツボネット掲載の症例)。
お腹の不調でも、お腹だけでなく呼吸や首・肩まで含めて体をみていく。これは当院が大切にしている考え方とも重なります。もちろん、経過には個人差があります。
当院の考え方
当院では、お腹に手を当てる腹診で、みぞおちまわりのこわばりや、お腹全体の張り具合を確かめます。あわせて背中や呼吸の動きもみながら、整動鍼®で体の動きのつながりを整え、胃がゆるみやすい状態づくりをお手伝いしています。背中と胃の関係については胃もたれが続くのは胃だけの問題じゃないの記事もご覧ください。胃腸の施術全体は胃腸・自律神経の鍼灸のページでご紹介しています。
まとめ
「食欲の秋なのに食べられない」と、自分を責める必要はありません。胃には、ゆるんで広がる時間が必要です。回数を分ける、温かいひと口から始める、食べる前に3回呼吸する。できそうなものから一つだけ、この10月に試してみてください。
参考資料
- 日本消化器病学会「患者さんとご家族のためのガイド 機能性ディスペプシア(FD)ガイド2023」
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/fd_2023.pdf
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
