会議が終わって椅子から立ち上がった瞬間、お尻の奥がズーンと重い。車で1時間ほど運転したあと、太ももの裏まで突っぱる感じが残っている。
こんな感覚に、心あたりはありませんか。
出雲市の鍼灸院・山岡鍼灸院、院長の古瀬です。今回は、長く座ったあとにお尻から脚にかけての痛みやしびれが気になる方に向けて、ふだんの「座り方」で見直したい5つのポイントをまとめました。その前に、先に医療機関へ相談してほしいサインもお伝えします。
「坐骨神経痛」は、病気の名前ではなく症状の呼び名です
坐骨神経(ざこつしんけい)は、腰からお尻を通り、太ももの裏、ふくらはぎ、足先へとのびている神経です。体の中でもとくに太くて長い神経と言われています。
この神経の通り道のどこかが圧迫されたり、刺激を受けたりすると、お尻から脚にかけて痛みやしびれが出ることがあります。これをまとめて「坐骨神経痛」と呼んでいます。つまり、坐骨神経痛は「結果として出ている症状」の名前で、その背景にはいろいろな原因が考えられます。
たとえば、背骨のあいだのクッションが飛び出す「腰椎椎間板ヘルニア」や、神経の通り道がせまくなる「腰部脊柱管狭窄症」などが知られています。こうした骨や神経の状態は、整形外科での検査で確かめる必要があります。一方で、画像検査では大きな異常が見つからず、お尻まわりの筋肉のこわばりが関わっていると考えられるケースもあります。
先に医療機関へ相談してほしいサイン
次のような様子があるときは、セルフケアより先に整形外科などの医療機関へご相談ください。
- 足に力が入りにくい、つまずきやすくなった
- しびれや、さわった感覚のにぶさが広がってきている
- おしっこが出にくい・もれる、便意がわかりにくいなど、トイレの感覚がいつもと違う
- じっとしていても強く痛む、夜も眠れないほど痛い
- しばらく歩くと脚が痛くなり、少し休むとまた歩けることをくり返す
- 転んだり、ぶつけたりしたあとから痛みが出た
ここから先は、検査などで大きな問題はないと言われたものの、座ったあとのお尻の痛みが気になる方に向けたお話です。
座りっぱなしがお尻に負担をかけやすいわけ
座っているあいだ、お尻の筋肉は体の重さでずっと押しつぶされています。同じ姿勢が続くと、筋肉がかたくなりやすいと言われています。さらに、背もたれにもたれて腰が丸くなった「ずっこけ座り」では、腰からお尻にかけての負担が偏りやすくなります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意することが勧められています。座りすぎは、お尻や腰だけでなく、腸の動きにも関わると考えられています。
座り方で見直したい5つのポイント
1. 30分〜1時間に一度は立ち上がる
いちばん手軽で、続けやすい工夫です。スマホのタイマーをかけておき、鳴ったら立ち上がって、その場で足ぶみを10回するだけでもかまいません。
2. 「お尻の骨」の上に座る
椅子に座って両手をお尻の下に入れると、左右にゴリッとした骨がふれます。これが坐骨(ざこつ)です。座面に深く腰かけて、この2つの骨に体重がのるように座ると、腰が丸まりにくくなります。
3. 後ろのポケットは空にしてから座る
ズボンの後ろポケットに財布やスマホを入れたまま座ると、片側のお尻だけが持ち上がり、骨盤がかたむきます。そのうえ、ポケットの中身がお尻の筋肉を押し続けることにもなります。座る前に取り出して、机の上やかばんに入れておきましょう。
4. 脚を組む・片側にもたれるクセを減らす
脚を組んだり、ひじかけに片方だけもたれたりすると、左右のお尻にかかる重さに差が出ます。「痛むのはいつも同じ側」という方は、無意識に同じ向きで組んでいることが少なくありません。まずは、気づいたときにそっと脚をほどくだけで大丈夫です。
5. 車・ソファ・床では「お尻の高さ」を少し上げる
車のシートや低いソファは、ひざがお尻より高くなり、腰が丸まりやすい座り方です。たたんだタオルをお尻の下に1枚しくと、骨盤が立ちやすくなります。床に座るときは、横座りやあぐらを長く続けるより、座布団を二つ折りにしてお尻の下に入れるのがおすすめです。
なお、ストレッチや体操をするときは、痛みやしびれが強くなる動きは無理に続けないでください。「気持ちいい」と感じる範囲でとめるのがコツです。
鍼灸の現場では「痛い場所の外側」もみています
当院で行う整動鍼®は、体の動きのつながりに注目する考え方です。お尻が痛む場合でも、腰の曲げのばし、股関節の動き、太ももやふくらはぎの張りなどを確かめ、痛む場所から離れたツボも使いながら、少ない本数で全体の動きを整えていきます。痛い場所と原因の場所がずれていることについては、腰痛がなかなか良くならない理由でもくわしくお話ししています。
また、お腹に手を当てる腹診で、お腹のかたさもみていきます。お腹の奥の緊張は、腰まわりの動きとも関係していると考えられるためです。変化の感じ方には個人差があり、医療機関での検査や治療と並行してご相談いただくことも可能です。腰やお尻の痛みへの施術については腰痛・ぎっくり腰の鍼灸のページにまとめています。
まとめ
座ったあとのお尻の痛みや脚へのひびきは、まず「受診したほうがよいサイン」がないかを確かめることが大切です。そのうえで、立ち上がる回数、座る骨の位置、ポケットの中身、脚を組むクセ、座面の高さ。この5つのうち、できそうなものをひとつだけ選んで、今日から試してみてください。
毎日くり返す座り方だからこそ、小さな見直しが積み重なっていきます。
参考資料
- 厚生労働省「身体活動・運動の推進」(健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html - 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbar_disc_herniation.html - 日本整形外科学会「腰部脊柱管狭窄症」
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbar_spinal_stenosis.html
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
