こんにちは。出雲市の山岡鍼灸院院長・古瀬が解説します。「朝起きるとあごや頬がだるい」「家族に歯ぎしりを指摘された」「歯医者さんでマウスピースをすすめられた」──夜のあいだの歯ぎしりや食いしばりは、自分では気づきにくいぶん、どう向き合えばいいのか悩ましいものです。今回は、夜の歯ぎしり・食いしばりがなぜ起こるのか、そして鍼灸ならではの「体全体から考える」見方を、できるだけわかりやすくお話しします。
まず知っておきたい、受診の目安
はじめに大切なことをお伝えします。あごに強い痛みがある、口が大きく開けられない、開け閉めのたびに大きな音や引っかかりがあるといったときは、歯科や口腔外科などで一度みてもらうと安心です。歯のすり減りやかけ、詰め物のトラブルがあるときも、まずは歯科にご相談ください。マウスピース(ナイトガード)で歯を守ることも、大切な方法の一つです。そのうえで、「体の緊張」という別の角度から見直してみることも、歯ぎしりとの付き合い方のヒントになります。
夜の歯ぎしり・食いしばりは、どうして起こるの?
歯ぎしりや食いしばりは、寝ているあいだに無意識に起こるため、自分の意思ではコントロールできません。背景には、あごを動かす筋肉の過度な緊張があると考えられています。日中の緊張やストレス、集中しているときの「ぐっと噛みしめるクセ」が、夜になっても尾を引いてしまう──そんなイメージです。つまり夜の歯ぎしりは、あごが「がんばりすぎている」サインとも言えます。
実は「あご」だけの問題じゃない ── 肩甲骨・首とのつながり
ここで知っておきたいのが、あごの緊張は、あごだけで完結していないということです。あごは、頭の骨から筋肉でぶら下がるようにして支えられています。そして、あご周りの緊張と、背中の肩甲骨まわりの緊張は、おたがいに影響し合いやすいと考えられています。肩や首、背中がこわばっているとあごにも力が入りやすく、逆にあごの食いしばりが肩こりや頭痛につながることもあります。「歯ぎしりがひどい時期は、肩こりや頭痛もつらい」という方が多いのは、こうしたつながりがあるからかもしれません。
歯ぎしりと自律神経・睡眠の関係
さらに、夜の歯ぎしりは睡眠の質や自律神経とも関わっていると考えられています。日中に交感神経(体を活動モードにする神経)が高ぶった状態が続くと、夜になっても体が休息モードに切りかわりにくく、眠りが浅くなったり、あごに力が入りやすくなったりします。ストレスや緊張がたまっているときほど歯ぎしりが強く出やすいのは、このためと考えられます。自律神経の乱れという視点からみると、歯ぎしりは「体がうまく休めていないサイン」の一つとして受け止めることができます。
当院での見方 ── 整動鍼®と腹診
当院では、歯ぎしりや食いしばりがあるときも、あごだけを診るのではなく、まず腹診といって、お腹にそっと手を当てて体全体の状態を確かめるところから始めます。そのうえで整動鍼®では、あごと関わりの深い肩甲骨まわりや首、背中などのツボを使い、体全体のこわばりをゆるめて、自律神経が整いやすい状態を目指していきます。少ない鍼で対応でき、体への負担が少ないのも特ちょうです。あごの力みそのものを無理に止めようとするのではなく、体の緊張がほどけることで、あごも休みやすくなる、というイメージで考えています。あごの痛みや口の開けにくさが気になる方は、顎関節症についての記事もあわせてご覧ください。
ご家庭でできるセルフケアのヒント
- 日中の食いしばりに気づく ── 上下の歯は、リラックスしているときは本来少しすき間があいています。パソコンやスマホに集中しているとき、歯が触れ合っていないか、こまめにチェックしてみましょう。
- 肩・首・背中をゆるめる ── 肩を大きく回す、深呼吸をしながら背伸びをするなど、上半身の力を抜く時間をつくると、あごの力みもやわらぎやすいと言われています。
- 寝る前は体を休息モードへ ── 寝る直前までスマホを見たり考えごとをしたりすると交感神経が高ぶりやすくなります。ぬるめのお風呂やゆっくりした呼吸で、体を休むモードに切りかえていきましょう。
- 「あごの力を抜く」を思い出す ── 日中にときどき「あごの力を抜く」と意識するだけでも、夜のあごの負担が変わってくることがあります。効果には個人差があります。
歯ぎしり・食いしばりは「クセだから」「体質だから」と見過ごされがちですが、あごだけでなく、肩甲骨や首の緊張、自律神経や睡眠という視点から見直してみることで、付き合い方のヒントが見つかることもあります。朝のあごのだるさや肩こりが気になるときは、当院でできることをご相談いただければ幸いです。
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
