こんにちは。出雲市の山岡鍼灸院院長・古瀬が解説します。「電車や会議など、すぐにトイレへ行けない場面にかぎってお腹が痛くなる」「便秘と下痢をくり返す」「お腹が張ってガスが気になる」──こうしたお腹の不調が続くのに、病院の検査では大きな異常が見つからない。そんなときに考えられるものの一つが、過敏性腸症候群(IBS)です。今回は、IBSの4つのタイプと、鍼灸ならではの見方を、できるだけわかりやすくお話しします。
まず知っておきたい、受診の目安
はじめに大切なことをお伝えします。便に血が混じる、体重が理由もなく減ってきた、夜中に目が覚めるほどの下痢や腹痛がある、発熱をともなう──こうしたサインがあるときは、IBS以外の病気がかくれている可能性があります。まずは内科や消化器科などの医療機関で、きちんと調べてもらうことが安心につながります。IBSは、こうした検査で大きな異常がないことを確かめたうえで考えられるもの、と受け止めていただくとよいと思います。
過敏性腸症候群(IBS)ってどんな状態?
IBSは、おおよそ10人に1人ほどにみられると言われる、身近なお腹の不調です。腸そのものに傷や炎症といったはっきりした異常がなくても、お腹の痛みや便通の乱れがくり返し起こるのが特ちょうです。「検査では異常なしと言われたけれど、つらさは確かにある」──そのつらさは決して気のせいではありません。背景には、脳とお腹が影響し合う「脳腸相関」という体のしくみが関わっていると考えられています。
IBSの4つのタイプ
ひとくちにIBSといっても、症状の出方によっていくつかのタイプに分けて考えられています。自分がどのタイプに近いかを知っておくと、向き合い方のヒントになります。
① 下痢型
急にお腹が痛くなり、トイレに行きたくなるタイプです。とくに、電車の中や大事な会議など「すぐにトイレへ行けない」場面で強く出やすいのが特ちょうで、比べると男性に多いと言われています。
② 便秘型
便意はあるのにうまく出せず、お腹の張りや残った感じで不快になるタイプです。女性に多いとされてきましたが、近ごろは若い男性にも増えていると言われています。
③ 混合型
下痢の時期と便秘の時期を、日によって・時期によってくり返すタイプです。「自分は下痢なのか便秘なのか分からない」と感じる方も少なくありません。
④ ガスでお腹が張るタイプ
お腹の張りやガスが強く、「音やにおいが気になる」という不安が、さらに症状を重く感じさせることがあります。気にすればするほどつらくなる、という悪い循環に入りやすいのもこのタイプの特ちょうです。
なぜ起こる?「脳とお腹の会話」と体のこわばり
IBSの背景には、ストレスや緊張が関わっていると考えられています。脳が緊張を感じると、その信号が自律神経を通じてお腹に伝わり、腸の動きが乱れやすくなります。これが、脳とお腹がやり取りをする「脳腸相関」です。おもしろいことに、気分に関わることで知られる物質が腸にも多くあり、緊張の場面では腸の動きを速めて下痢につながることもあると言われています。さらに、肩や首、背中がこわばっていると自律神経のバランスがゆらぎやすく、お腹の調子にも影響しやすいと考えられます。つまりIBSは、お腹だけの問題ではなく、体全体の緊張と深くつながっていると見ることができます。
当院での見方 ── 整動鍼®と腹診
当院では、お腹の不調があるときにお腹だけを診るのではなく、まず腹診といって、お腹にそっと手を当てて体全体の状態を確かめるところから始めます。そのうえで整動鍼®では、手や足、背中など、お腹の働きとつながりの深い部分のツボを使い、体全体のこわばりをゆるめて、自律神経が整いやすい状態を目指していきます。少ない鍼で対応でき、体への負担が少ないのも特ちょうです。お腹を無理に動かそうとするのではなく、体の緊張がほどけることでお腹も落ち着きやすくなる、というイメージで考えています。IBSのつらさや向き合い方については、過敏性腸症候群のページや自律神経の乱れのページもあわせてご覧ください。
ご家庭でできるセルフケアのヒント
- お腹にやさしい食べ方を意識する ── 脂っこいもの、香辛料、コーヒーやお酒、冷たいものは、お腹を刺激しやすいと言われています。まずは量を控えめにするところから始めてみましょう。
- 睡眠のリズムを整える ── 寝る時間・起きる時間がバラバラだと自律神経がゆらぎやすくなります。できる範囲で毎日同じリズムを心がけましょう。
- 軽い運動を続ける ── ウォーキングなど無理のない運動は、腸の動きや気分の切りかえの助けになると考えられています。効果には個人差があります。
- お腹の張りが気になる方へ ── 特定の食べ物でお腹が張りやすい方は、いわゆる低FODMAP食のような、お腹にやさしい食べ方を少しずつ試してみるのも一つの方法です。
IBSは「気にしすぎ」「体質だから」と我慢されがちですが、お腹だけでなく、自律神経や体全体の緊張という視点から見直してみることで、付き合い方のヒントが見つかることもあります。くり返すお腹の不調でお困りのときは、当院でできることをご相談いただければ幸いです。
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
