出雲市の山岡鍼灸院院長・古瀬が解説します。当院では院内での施術に加えて、ご自宅や施設へうかがう出張・訪問施術も行っています。「外に出るのがしんどい」「自分が落ち着ける場所で受けたい」。そうしたお声に応えるかたちで始めたものですが、場所が院内から変わっても、変えずに持っていきたいものがあります。今回はその中身をお話しさせてください。
「おじゃまします」から、施術は始まっている
訪問施術は、その方の暮らしの中に足を踏み入れるところから始まります。ですから私は、玄関を開けていただいた瞬間から「おじゃまします」という気持ちを手放さないようにしています。
言葉づかい、荷物の置き方、靴の脱ぎ方。細かいようですが、そのひとつひとつが、そこで暮らしている方への敬意のあらわれになると考えています。何度もうかがっている場所であっても、自分は「よそから来た人間」であるという自覚だけは持ち続けていたいと思っています。
その場の空気を乱さない、静かな時間にする
ご自宅や施設は、その方にとっていちばん力が抜ける場所です。そこへ施術者が入っていく以上、空間の流れを乱さないことを大切にしています。
話さない時間も、施術のうち
必要以上に話しかけることはせず、呼吸のリズムに合わせて静かに進めていきます。とくに気持ちが張りつめやすい時期は、言葉より沈黙のほうが身体をゆるめてくれることがあると感じています。自律神経の乱れを感じている方ほど、この「静けさ」が効いてくるように思います。
もちろん、気になることがあれば、どんな小さなことでも遠慮なくお話しください。うかがうこと自体が、施術の一部だと思っています。
ご家族が同じ空間にいるときは
ご自宅ではご家族が近くにいらっしゃることもあります。その場合は、どこまでお話ししてよいかを最初に確認するようにしています。身体のことは、本来とてもプライベートな話題です。ご本人が話しづらそうなご様子なら、こちらから深追いはしません。安心して口を開けるかどうかは、その場の空気しだいだと感じています。
清潔さと段取りは、信頼の土台
持参するベッドやタオル、道具類は、すべて清潔に整えた状態でお持ちしています。準備から片付けまでを滞りなく進め、終わったあとにはその場が元の空間にきちんと戻っているように気を配ります。
「来たときよりも整えて帰る」。それくらいの気持ちでちょうどいいのかもしれません。生活の場をお借りしている以上、ここは手を抜けないところだと考えています。
荷物の量にも気をつかいます。玄関から施術する部屋までの動線を最初に確かめ、必要なものだけを持ち込む。大がかりに見えないほうが、受ける側の身構えも自然とほどけていくように思います。
終わったあとの「日常」まで考える
訪問施術は、終わってすぐ普段の生活に戻られる方がほとんどです。だからこそ、最後には「軽やかに動ける身体」を意識しています。余計なだるさを残さず、身体がふっとゆるんで、その日の暮らしが少し心地よくなる。そこを目指しています。
外に出づらい方にこそ届けたい
めまいが出ると外出そのものが不安になる、人の多い場所で動悸が起こりやすい。そうしたご相談は決して少なくありません。めまい・ふらつきや動悸・不安でお困りの方にとって、移動しなくてよいという条件そのものが、身体の負担を減らしてくれることがあります。
場所が変わっても、変わらないもの
臨床歴7年のあいだ、院内でも訪問先でも変わらず大事にしてきたのは、「安心して身体をあずけていただけること」でした。腹診でお腹の様子を確かめ、整動鍼®で少ない鍼を選んでいく流れも、場所によって変えることはありません。
ご自宅でも、施設でも、その空間にそっと寄り添うような鍼灸の時間を、これからも丁寧に届けていきたいと思っています。気になる方は、無理のない範囲でお声がけください。
※本記事は一般的な健康情報および当院の考え方の紹介を目的としたものであり、感じ方や変化には個人差があります。気になる症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
