出雲市の山岡鍼灸院院長・古瀬が解説します。「8時間も眠っているのに、朝から体が重い」「短く眠った日のほうが、なぜかスッキリ起きられる」「眠っているはずなのに、深く休めている感じがしない」——施術の中で、こうしたお声をよくお聞きします。今回は、睡眠の中でもっとも大切な時間といわれる「最初の90分」について、自律神経の視点からお伝えします。
「8時間眠ったのに疲れが取れない」その理由
多くの方が「睡眠は長さが大事」と考えています。もちろん十分な時間眠れるに越したことはありませんが、実際の施術現場では次のようなケースをよく見かけます。
- 8時間眠っているのに、朝から体が重い
- 6時間しか眠れなかった日のほうが、頭がスッキリしている
- 休日にたっぷり寝ても、疲れが抜けない
この差はどこから生まれるのでしょうか。その答えは、眠りに入ってからの「最初の90分」をどれだけ深く眠れたかにあります。
睡眠の質を左右する「最初の90分」
「黄金の90分」と呼ばれる理由
眠りについた直後、体はまず深いノンレム睡眠へとスーッと沈み込んでいきます。この入眠直後のおよそ90分間は、研究の世界で「黄金の90分」と呼ばれることがあります。一晩のうちでもっとも深く、もっとも回復が進む時間帯であり、ここでしっかり深く眠れると、その後の睡眠リズム全体が整いやすくなります。反対に、最初の90分が浅いまま終わってしまうと、2回目以降のノンレム睡眠も徐々に短く、浅くなっていく傾向があります。
黄金の90分のあいだ、体の中で起きていること
入眠直後の90分間、体は静かに、しかし確実に重要な仕事を進めています。
- 成長ホルモンの約70〜80%がこの時間に分泌される
- 交感神経が落ち着き、副交感神経へとバトンタッチされる
- 日中にたまった「眠りたい欲求(睡眠圧)」が解消される
- 自律神経のバランスとホルモン分泌のリズムが整えられる
わずか90分のあいだに、これだけ多くのことが進んでいます。だからこそ、この時間にぐっすり眠れるかどうかで、翌朝の体の軽さが大きく変わってくるのです。
最初の90分でつまずくと、一晩中影響が続く
反対に、最初の90分を浅い眠りのまま過ごしてしまうと、次のようなことが起こります。
- 成長ホルモンが分泌される機会を逃してしまう
- 交感神経が高ぶったまま夜が進んでしまう
- 2回目以降のノンレム睡眠も連動して浅くなる
- 長く眠っても、朝の目覚めが重くなる
つまり「8時間眠ったのに疲れが取れない」のは、睡眠時間の問題ではなく、最初の90分の質の問題かもしれないのです。
自律神経の専門家として、お伝えしたいこと
「布団に入ってもなかなか深く眠れない」「目を閉じても頭が冴えてしまう」——こうしたお悩みの背景には、すでに交感神経が高ぶったまま自律神経の乱れが起きているサインが隠れていることがあります。意志の弱さではなく、体が「休むモード」へ切り替わりにくくなっているだけです。眠りの浅さが続くことで、日中の頭痛やめまい・ふらつきとして現れる方もいらっしゃいます。山岡鍼灸院では、お腹や脈、首肩まわりの緊張を丁寧に確認しながら、整動鍼®と腹診で内臓と自律神経のバランスを整え、最初の90分が深くなる体づくりをサポートしています。
黄金の90分を守る、今日からの工夫
① 就寝90分前までに、ぬるめのお風呂につかる
お風呂で体温を一度上げてから少し時間をおくことで、体温が下がるタイミングと眠気が重なりやすくなります。
② 寝る1時間前は、スマホを少し遠くに置く
画面を見続けていると、脳は活動モードのまま眠りに入ってしまいます。手の届かない場所に置くだけでも、体が休息モードへ切り替わりやすくなります。
③ 寝室は、いつもより一段暗くする
明るい光は「まだ活動時間だ」という信号になります。照明を落とすことで、深い眠りに入りやすい環境を作れます。
④ 「寝る時間」をなるべく毎日そろえる
就寝時刻が一定だと、体が「もうすぐ眠る時間だ」と覚え、深い眠りへの移行がスムーズになります。
⑤ 寝る前のカフェイン・お酒は控えめに
カフェインやアルコールは入眠直後の深い眠りを妨げる原因になります。就寝前の数時間は控えめにしておくのがおすすめです。
おわりに
睡眠は、長さよりも「最初の90分の質」が大切です。6時間しか眠れない夜でも、最初の90分が深ければ体はしっかり休まります。反対に、8時間眠っても最初の90分が浅ければ、疲れは残ってしまいます。今夜は、ぬるめのお風呂やスマホを置く時間から、黄金の90分を整える小さな一歩を始めてみませんか。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
