出雲市の山岡鍼灸院院長・古瀬が解説します。施術をしていると、「先生、治してください」とお声をいただくことがあります。長いあいだ不調とつきあってこられた方ほど、その言葉には切実な思いがこもっていて、お気持ちは痛いほどよくわかります。今回は、そんなときに私がいつも考えていること——「治す」ではなく「整える」という、施術で何より大切にしている考え方についてお話しします。
「治す」のは、あなた自身のからだに備わった力
私は、からだを回復の方向へ動かしているのは、患者さんご自身に備わった力だと考えています。鍼やお灸にできるのは、その力が働きやすいように環境をととのえるお手伝いまで。主役はあくまで、あなたのからだそのものです。
臨床歴7年、延べ10,000件を超える施術のなかで、この感覚は年々確かなものになってきました。同じ症状の方でも、回復のペースも道すじも一人ひとり違います。だからこそ私は、こちらの型に当てはめるのではなく、その方が本来持っている力がどこでつまずいているのかを見きわめることに時間をかけています。
せき止められた流れを、そっとなめらかに戻す
たとえば、川の流れが途中で石にせき止められているとします。水そのものを押し流そうと力を加えるのではなく、じゃまをしている石をそっとどける。私の施術のイメージは、まさにこれに近いものです。
石をどければ、水——つまり自然治癒力は、誰に言われるでもなく自然と流れはじめます。そしてその流れが、からだを少しずつ回復の方向へ導いてくれると考えています。
だから、鍼の本数は少なくていい
当院では整動鍼®で少ない鍼で対応することを大切にしています。たくさん刺せばそのぶん良くなる、というものではありません。どこがせき止められているのかさえ見きわめられれば、必要な一本は限られてくるからです。さらに、おなかの状態を確認する腹診を組み合わせることで、その日ごとのからだの変化を丁寧に読み取るようにしています。
がんばりすぎている、あなたへ
この「整える」という考え方は、がんばりすぎてしまう方にこそ届いてほしいと思っています。「ちゃんと治さなきゃ」「もっと生活を改善しなきゃ」——そうやって気持ちだけが先走ってしまう時期は、誰にでもあります。
でも、不調が続いているときのからだは、もうすでに十分がんばっています。そこにさらに力を足すよりも、まずは張りつめたものをゆるめて、整えるところから始めてみる。遠回りに見えて、そこが本来の自分に戻るための一歩になることが少なくありません。
胃腸や自律神経の不調にも、同じ考え方で
この考え方は、当院にご相談の多い不調にもそのまま当てはまります。自律神経の乱れは、多くの場合「休むスイッチが入りにくくなっている状態」です。ここでも私がすることは、無理に切り替えさせることではなく、切り替わりやすい状態に整えることだと考えています。
過敏性腸症候群(IBS)や機能性ディスペプシア(FD)のように、検査で異常が見つかりにくい不調も同じです。おなかが本来の働きを取り戻しやすい環境をつくることで、少しずつ変化が期待できると考えています。
おわりに
「治す」という言葉を手放してみると、少し肩の力が抜けるかもしれません。あなたのなかにある力を、そっと目覚めさせるお手伝い。それが私の考える鍼灸です。
今すぐどうにかしなければ、と焦る必要はありません。もし今日の話が心のどこかに残って、いつかふと思い出していただけたなら、そのときに無理のない範囲でご相談いただけたら嬉しく思います。
※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたものであり、効果には個人差があります。気になる症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
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同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。
