「腹式呼吸」と聞くと、お腹を思いきりふくらませる呼吸を思い浮かべていませんか。
そのつもりで試してみると、肩に力が入る。お腹がうまく動かない。なんだか息苦しい。そうして「自分には向いていないのかも」とやめてしまう方は、少なくありません。
出雲市の鍼灸院・山岡鍼灸院、院長の古瀬です。腹式呼吸は、上手にやろうとがんばるほど、かえって難しくなることがあります。今回は「うまくできない」と感じている方に向けて、お腹をゆるめるための5つのコツをお伝えします。
先に受診をおすすめしたいとき
次のようなときは、呼吸法で様子を見るより先に、医療機関にご相談ください。
- 息苦しさが急に強くなった
- 胸の痛みや、おさまらない動悸がある
- 強い腹痛、血便、急な体重減少がある
また、呼吸法の途中でめまいや息苦しさを感じたら、すぐにやめて、ふだんの呼吸に戻してください。妊娠中の方や持病のある方は、無理をせず、かかりつけの先生に相談してから試しましょう。
呼吸とお腹は、つながっています
胃のすぐ上には「横隔膜(おうかくまく)」という、ドームの形をした筋肉があります。息を吸うと横隔膜は下がり、吐くと上に戻ります。
横隔膜が下がると、その下にある胃や腸は少し押されます。行き場を探すように、お腹が前や横にふくらみます。つまり、お腹のふくらみは「がんばって作るもの」ではなく、横隔膜が動いた結果として「ついてくるもの」です。
もうひとつ、ゆっくり息を吐く呼吸は、体を休ませるほうの自律神経(副交感神経)が働きやすくなると言われています。胃腸もまた、体が落ち着いているときに動きやすいと言われています。呼吸だけで胃腸の不調がすべて解決するわけではありませんが、自分で手軽に試せる方法のひとつです。
うまくできない人へ、5つのコツ
コツ1:吸う前に、まず吐く
「さあ吸おう」と始めると、胸と肩が上がりやすくなります。最初にやることは、細く長く息を吐くことです。口をすぼめて、ろうそくの火をゆらすくらいの弱さで吐いてみましょう。吐ききろうとしなくて大丈夫です。吐き終わると、次の息は自然に入ってきます。
コツ2:あお向けで、ひざを立てる
立ったまま、座ったままで難しい方は、姿勢を変えてみましょう。あお向けでひざを立てると、お腹の力が抜けやすくなります。お布団の上で、寝る前や朝に試せます。慣れてきたら、いすに座っても同じように試してみてください。
コツ3:手は、お腹に置くだけ
おへそのあたりに、両手をそっと置きます。お腹を手で押したり、動かそうとしたりはしません。息を吐くときに少し沈み、吸うときに少し戻る。それくらいの小さな動きがわかれば十分です。動きがわからない日があっても、気にしなくて大丈夫です。
コツ4:先に、肩とみぞおちをゆるめる
肩に力が入ったままだと、お腹は動きにくくなります。一度、両肩をぐっと耳に近づけて、ストンと落としましょう。これを2〜3回。みぞおちがかたいと感じる日は、手のひらをあてて温めてから始めるのもおすすめです。
コツ5:3回から始めて、やる時間を決める
回数は、まず3回で十分です。余裕があれば5回、10回と増やしてみましょう。忘れないコツは、毎日することに結びつけることです。たとえば「食事の前に3回」「布団に入ったら3回」と決めておきます。秒数を厳密に数える必要はありません。「吸うより吐くほうを長めに」とだけ覚えておきましょう。
「お腹が動かない」のは、失敗ではありません
長く座る毎日が続くと、背中が丸まり、お腹まわりが動きにくくなることがあります。緊張が続いているときも、呼吸は浅くなりがちです。ですから、お腹が動かないのは、やり方が悪いからとは限りません。
今の体の状態を知るきっかけ、くらいに受け止めてみてください。夜の呼吸と胃腸の関係は「寝不足で胃もたれが出る理由」で、ストレスとの関係は「ストレスで胃腸に不調が出る理由」でも取り上げています。
鍼灸の現場で大切にしていること
当院では、お腹にそっと手を当てる「腹診」で、張りやかたさの様子を確かめます。お腹だけでなく、背中や腰のこわばりにも目を向けながら、整動鍼®の考え方にもとづいて、少ない鍼で体全体の動きを整えることを目指します。
呼吸のしやすさの感じ方には個人差があり、すべての方に同じ変化が出るとは限りません。セルフケアを続けてもお腹の不調が気になるときは、まず医療機関で確認を受けたうえで、鍼灸という選択肢も思い出していただければと思います。胃腸と自律神経のご相談については「胃腸・自律神経の鍼灸」のページにまとめています。
参考資料
※本記事は健康情報の提供を目的としたものであり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
同じお悩みでお困りの方へ
出雲市の山岡鍼灸院では、胃腸・自律神経の不調に特化した整動鍼®施術を行っています。

